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『超非力同盟 ㉑』 [超非力同盟]

《東都恵美須駅広場》
sh1.jpg 【山田少年】「浅野、キーボードケース」
へたり込んだまま山田少年は、浅野少年前方の投げ出されたキーボードケースを指さす。
【浅野少年】「おっ!やべえ」
【渋園少年】「さっきの衝撃波で吹っ飛んだんだ。ギターもどっかにいっちまったぜ」
ダメージが残っているのか、躄りごしでキーボードケースを取りに行く浅野少年。その浅野少年の眼前に突然、黒革靴が立ちはだかる。不審そうに目線を上に向ける浅野少年。
【大妙】「大丈夫かね?怪我はないかね?」
明の父、大妙警視が浅野少年を覗き込む。
【大妙】「おや?君をどこかで?」
更に顔を近づける大妙。
【大妙】「そうだ、浅野警視の息子さんだね」
【浅野少年】「ハ・ハィ・・・そぅですけど」
【大妙】「そうか、私は同僚の大妙だ。君とも何度か会ってる」
【浅野少年】「はぁ・・・?」
【大妙】「ハハ、会ってるといっても挨拶程度だから、分からないのも無理はない」
転がっているキーボードケースをチラッと見る浅野少年。つられて大妙もキーボードケースに目をやる。
【大妙】「あれは君の?」
【浅野少年】「・・・」
【大妙】「加藤君!」
加藤刑事が駈けつけて来る。
【加藤】「大妙警視、何か?」
【大妙】「あれを拾ってやりたまえ」
キーボードケースを拾いに行く加藤。顔がこわばる3少年。ケースの取っ手を掴んで拾い上げる加藤。途端にケースの蓋がガバッと開き、中からキーボードが落下する。コンクリートの地面に叩きつけられたキーボードは衝撃で上下に割れ、狙撃銃のレミントンM700が転がり出る。凍り付く3少年。
【加藤】「大妙警視!」
素手で銃を拾い上げる大妙。
【加藤】「大妙警視、指紋が!」
【大妙】「いい」
【加藤】「し・しかし・・・」
【加藤】「うるさい、黙れ!」
【加藤】「は・はっ・・・」
【大妙】「ゲンジョウに行く前に、とんでもない金星に巡り逢ったようだ、フフッ」
大妙は浅野少年を踏みつける。
【大妙】「連続狙撃事件は貴様らの仕業だな」
大妙は更に浅野少年を踏みつける。
【大妙】「クソガキどもめ」
ウグッと苦痛に歪む浅野少年。止めようとする加藤。
【加藤】「け・警視!」
【大妙】「うるさい!」
大妙の蹴りが加藤の脇腹にめり込む。白目を剥き、くの字のまま倒れ込む加藤。
【大妙】「お前たちが殺して銃を奪った男は、俺の子飼いの奴だった」
浅野少年をまた踏みつける大妙。山田少年が気づかれない様にポケットから携帯を取り出し赤いスィッチを押す。
《幻山亭、ヘイトプラズマ実証実験室》
fty.jpg 完全に破壊されたヘイトプラズマ実証実験室。瓦礫をかき分け、明のいるブース内カプセルに急ぐ正露山と原田、ロボットたち。2人の服は煤で汚れ、ズタズタに裂けている。正露山は右頬を横一文字に切り、原田は頭から血を流し、左腕が無い! 顔を歪め、苦しそうな原田。
【正露山】「原田君、腕は痛むか?無理せんで休んでいたまえ。じきに医療ロボットが来る」
【原田】「こ・これくらい、明君の状況に比べたら、屁・でもありませんよ。は・博士こそ頬の傷深そうです・が?」
【正露山】「痛みなんぞ感じやせんよ。それより早く明君を助けないと!」
声「その傷ぼくが治します」
【正露山】「エッ?」
【原田】「その声!?」
後ろを振り向く正露山と原田。全裸だが五体満足の明がニコニコして立っている。
【正露山】「明君???」
【原田】「明君!?ほんとに明君?」
【正露山】「ぶ・無事だったのか!」
【原田】「よかったぁ!!」
【明】「よくありませんよ!原田さん、その傷」
【原田】「明君が無事なら、これくらいどうってことないさ」
【正露山】「どうってことない訳ないだろ原田君」
【明】「そうですよ、僕が治します」
【原田】「明君、治すって?」
【明】「そ、僕が治します。次は博士の頬の傷を」
【正露山】「ど・どういう事なのかね?明君」
【明】「ま、見てて下さい」
明は原田の頭に手を翳すと、ピタリと出血が止まった。次に原田の失われた左腕に手を翳す。原田の左腕だった所が虹色に光り出し、腕の形に姿を変える。そして、左腕そのものになった。吃驚仰天する正露山と原田。
【正露山】「明君!どうやったんだぁ?」
【原田】「博士、感覚もあります、腕も指も曲がります。僕の左腕です!!」
正露山は原田の左袖をまくり上げる。つなぎ目もない、肩からつながった正真正銘の左腕だ。
【正露山】「奇跡だ!信じられない・・・!?」
微笑む明。
【明】「ハハハ、信じて下さい博士。それに原田さん、その腕は普通の左腕じゃありませんよ」
【原田】「普通の腕じゃないって、どういう事明君?」
【明】「どんな高温・低温・酸・ウイルス等に冒される事なく、鋼鉄をも、たやすく打ち抜ける力を備えています」
【原田】「????」
【正露山】「明君、わ・わかるように説明してくれんかね?」
【明】「原田さんの左腕は強結合プラズマで出来ています。僕のこの体もね」
【正露山】「強結合プラズマ! プラズマ密度が個体密度を越えた時、クーロン多体相互作用でプラズマが固体化や液体化される現象だね・・・」
【明】「ハイ、ぼくはよく分からないのですがマザーがそう言ってました」
【正露山】「マザーが?」
【明】「僕の肉体がプラズマの超高温によって電離爆散する直前、強結合プラズマ体に変換してくれたのです」
【正露山】「マザーがそう言ってたのかね?」
【明】「ええ、そう言ってました」
【原田】「マザーはどうしたの?」
【明】「ぼくをプラズマ体にした直後、プラズマの電離爆発に巻き込まれて損壊し、機能しなくなりました」
【正露山】「そうか・・・」
【原田】「僕の左腕はどうやって?」
【明】「理屈や理論はぼくには分からないけど、頭で考えると出来るんです。ほらこんな事も!」
瞬時に明の姿が原田に変わった!さらに愕然とする正露山と原田。
【原田】「えええっ!?」
【正露山】「うむぅ、生まれ変わった明君に備わったある種のインスティンクトだね、素晴らしい!」
【明】「博士、その頬の傷も」
正露山の頬の傷に手を近づける明。顔を引く正露山。
【正露山】「いや私はいいよ。この頬の傷は自分の増長した行いを諌める罰として、残して置きたいのだ」
【原田】「そんな事いわずに」
【明】「そうです博士」
【正露山】「傷を見るたび、傲慢な心を叱咤し、正しい道を進む事が出来る」
【明】「わかりました。では出血だけ止めましょう」
人差し指で正露山の傷を撫でる。出血が止まり赤黒い傷跡が残った。
【明】「傷痕を消すのはいつでも出来ますからね」
【原田】「そうだね」
【正露山】「うむ、私はこれでいい」
【明】「頑固ですね博士は」
【原田】「まったく」
【正露山】「我ながら手を焼いとる」
3人に笑顔が戻る。ピピピピッ!と原田の携帯が鳴る! 携帯を取り出し、眉をしかめる原田。
【原田】「チッ!山田君からSOSだ」
【明】「SOS?」
【原田】「もし窮地になったら、即僕に送ってくるレスキュー信号さ・・・ンム、まずいなこりゃ」
【明】「そんなに?」
【原田】「GPSが示す山田君の位置は恵美須埠頭の近くだ。ン~と正確には東都恵美須駅だね。あれほど恵美須埠頭には近づくなと念を押していたのに・・・」
【明】「実証実験は成功したんですか?」
【正露山】「これを見たまえ」
正露山が自分の携帯画面を2人に見せる。RSSが恵美須埠頭大爆発と東都電波塔爆発倒壊のニュースを伝えている
to2.jpg 【原田】「実証実験は成功したようですね。東都電波塔は何故?」
【正露山】「リンクしたヘイトプラズマの誘導時、プラズマの500%を越えた超高温干渉をまともに食らったのだろう」
【明】「とにかく恵美須駅へ行って来ます。今のぼくなら瞬時に移動出来ますから」
【正露山】「明君、その姿・・・」
【原田】「裸だぜ、それに僕だし」
【明】「おっと忘れてた」
明の体がフラッシュ!し、裸の原田から普段着の明に変わった。
【原田】「へェ~、便利なもんだ」
【明】「じゃ行って来ます」
再び明の体がフラッシュし、今度はかき消えた。
【原田】「博士、僕も恵美須駅へ急行します。山田君たちが心配なので」
【正露山】「んむ、わかった。私はマザーを修理してみる。直れば明君に関して詳しい事がわかるだろう」
【原田】「お任せします博士」
実証実験室を飛び出して行こうとする原田。
原田を呼び止める正露山。
【正露山】「原田君、アレを使いたまえ。こんな時のためアレがある」
足を止め、振り向く原田。
【原田】「わかりました。では」
頷く正露山。実証実験室から駆け去る原田。
to be continued

『超非力同盟 ⑳』 [超非力同盟]

《東都恵美須駅広場》
a-b1108.jpg 土埃にまみれ、両手をついてへたり込んだ山田、浅野、渋園の3少年は、真っ赤に染まる眼前を茫然と眺めている。そして、時間軸を少し戻す・・・
《幻山亭,ヘイトプラズマ実証実験室》
db.gif 隔離されたブース内カプセルのベッドに、目を閉じ横たわっている明。遮蔽シールドに守られたコントロール室に正露山、原田と小まめに動くロボットたち。正露山がパネルのスイッチを弄る。カプセルのベッドがゆっくり3つに折れて椅子に変形する。
【正露山】「明君、装置と一体化した気分はどうかね?」
目を開け、首を左右に何度か振る明。
【明】「とても興奮してます、博士」
【原田】「明君、こっちのバイオモニターの数値が振り切れてるよ」
【明】「落ち着こうとしてるんですが、ダメです」
【正露山】「ハハハ、ダメかね。実は私も興奮して足が地につかんよ」
【原田】「僕もです博士」
【正露山】「では明君、実証実験を始めるぞ」
【明】「ハイ、いつでもどうぞ」
【正露山】「うむ、では原田君、プラズマを充填するようマザーに命令を」
【原田】「はい」
原田がタッチパネルを操作する。低い電子音が響き、壁一面のマルチディスプレイが明の様々な生体情報を3Dで映し出す。
【原田】「マザー起動しました」
【正露山】「ん。明君、どうかね?」
【明】「最高の気分です!」
【正露山】「よかった」
【原田】「順調ですね博士」
【正露山】「原田君、第2段階へ」
【原田】「ハイ」
【マザー】「ダイ2ダンカイ、ヒケンシャト100%リンクシマシタ。ツギニススミマスカ?」
【正露山】「第3段階へ」
【原田】「ハイ」
【マザー】「ダイ3ダンカイ、ヒケンシャノバイオデーターヲカイホウシマス」
突然ディスプレイ全体が真っ赤に変わった!動揺する2人。
de.gif 【正露山】「どうしたのだ?マザー」
【マザー】「ハイ、マスター ヒケンシャノキゾンデータートイッチシマセン」
【正露山】「どういう事だ?」
【マザー】「ハイ、マスター ドウキデキマセン。ゲンザイノヒケンシャノセイタイジョウホウハワタシノソウチノジョウゲンヲハルカニコエテイマス。センジツセーブシタデータートハマルデチガイマス」
あの博士とは思えないほど声を荒らげ
【正露山】「んんん・結果を言えマザー!」
【マザー】「ハイ、マスター ジッケンヲジッコウスルト90%ヒケンシャノセイタイハダメージヲウケマス」
【正露山】「90%ダメージ・・・」
【原田】「明君の興奮状態が深層心理を呼び起こしたのでは・・・?」
【正露山】「むうう、完全覚醒!!」
【原田】「完全覚醒・・・!?」
【正露山】「絶好なチャンスだ。だが明君に90%の危険が」
【原田】「どうします?僕は止めたほうが」
【正露山】「もちろんだ、中止しよう、慌てる事はあるまい。明君が完全覚醒しただけでも多大な成果だ。」
【原田】「実験装置は作り直せばいい事ですからね、機会はこれからいくらでも・」
【マザー】「マスター チュウシハデキマセン」
【正露山】「何故だ?」
【マザー】「イマソウチヲリセットスルト、100%リンクシテイルヒケンシャノセイタイキノウテイシリツ98%デス」
【原田】「98%!!」
【正露山】「くうぅ、マザー 選択はないのか?」
【マザー】「コノママ90%ノセイゾンリツヲカクホデキルジッケンヲツヅケルコトヲテイアンシマス」
【原田】「徐々に装置をダウンさせていく方法はないのか?」
【マザー】「アリマセン。リセットモシャットダウンモ、ヒケンシャのセイタイデーター、オモニブレインガショキカサレテシマイマス。ソレデヨロシケレバ」
【正露山】「よくない!よくないに決まってるだろ、バカめ!!」
【マザー】「デワ、ジッケンヲツヅケマスカ?」
【正露山】「どうしたらいいのだ?私は自分の我欲のせいで明君を・・・」
【原田】「博士!」
【原田】「原田君、私はどうすれば?」
【原田】「博士、気を確かに落ち着いて下さい」
【明】「は・は・か・せ・・・」
【正露山】「おお!明君、大丈夫か?」
【明】「な・ん・とか・・・」
【正露山】「明君許してくれ、私が愚かだった。自分の功を焦ったがため、君を危険な目にあわせてしまった・・・」
【原田】「明君!今何とかするから・」
【明】「す・す・めて・・・く・だ・さい」
【正露山・原田】「え?」
【明】「じっ・け・んをす・す・め・て。装置も・そういって・ま・す」
ds.jpg 【正露山】「装置が君に?私は、私はどうすればいいのだ・・・」
【原田】「博士!」
【正露山】「原田君、私はどうすれば・・・?」
【明】「ボクは、大・丈夫で・す。チャンスは今、今しかない・・・」
【正露山】「チャンス?」
【明】「こ・の高揚感は、も・う・二度と・やって・こない・から」
【原田】「博士、もはや10%の望みに賭けるしかないのでは」
【正露山】「わ・わかった」
【明】「お・願い・しま・す」
【正露山】「ん!マザー次の段階へGO!!だ!」
遮光グラスを掛ける正露山と原田。
【マザー】「ワカリマシタ マスター、ゾッコウシマス」
【原田】「大丈夫さ、きっと大丈夫さ明君」
ss-43b70.jpg ブース内のチェンバーが輝きだす。明の入ったカプセル上部とブースから下方に伸びている蓮状のプラズマ電極が筒状の光で繋がった。沢山の細かな光の粒子が炭酸の泡のように電極へ上っていく。
【マザー】「エネルギー60%」
【原田】「東都電波塔とリンクしました。恵美須埠頭マーク中。光波ホーミング誘導開始」
パネルを操作する原田。
z1.jpg 【正露山】「原田君、電波塔の出力最大に」
【原田】「ハイ、最大にします」
【マザー】「ヘイトプラズマ・エネルギー70%」
【原田】「シーカー、目標物捉えました。自動に切り替えます」
【正露山】「マザー、幻山亭の放出砲出せ」
【マザー】「ハイ、ホウシュツホウダシマス」
幻山亭の時計台上部から大砲の筒に似た放出砲がニョキリと顔を出す。
【原田】「東都電波塔パワー最大。目標固定完了!GPS誘導OKです」
【マザー】「エネルギー90%・・・100・120・150%」
【正露山】「何ぃ!?100%を超えただと!」
【マザー】「サラニ210%。カソクトマリマセン、270%」
【原田】「明君!大丈夫か?」
【明】「だい・じょう・ぶ、ぼく・はだいじょう・ぶ・です」
明のカプセル全体が白光に包まれている。
【マザー】「380%!キケンキケンキケン!!ヒケンシャ、ボウソウチュウ!」
【正露山】「マザー!ヘイトプラズマ放出開始せよ!」
【マザー】「ダメデスマスター、ソウチショウアクデキマセン!ソウチハヒケンシャノシュチュウニアリ」
【正露山】「なんだって?明君の手に!?」
【マザー】「570%!タイヒカンコク、タイヒカンコク」
実証実験室に退避サイレンが鳴り響く。
【原田】「緊急手動で放出してみます!」
緊急スイッチのカバーを割り、スイッチを押し込む原田。途端、実証実験室は激しい衝撃と眩い閃光に襲われる。
《東都恵美須駅広場》
a.jpg 土埃にまみれ、両手をついてへたり込んだ山田、浅野、渋園の3少年は、真っ赤に染まる眼前を茫然と眺めている。
                  to be continued

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